2011年5月26日木曜日

無名俳優の独り言

舞台の場合、実年齢より相当上の歳であったり、逆にかなり若い年齢であっても、演じることにさほどの抵抗はないものだ。扮装やメイク、身のこなし方で化けられるし、そこに演劇ならではの面白さがあると言えるかも知れない。

しかし、映画やテレビの、つまり映像を媒体とした表現となると等身大でしか演じられないものだ。たしかに一代記ものみたいなドラマでは若い年代から老けまで演(や)ることはあるが、演者の実年齢からかけ離れた役創りにはどうしても不自然がつきまとうものだ。

昔の映画スターには、例えば長谷川一夫さんや池部良さんのように万年二枚目というか、実年齢に関係なく男盛りの年代で押し切っていた。多くのファンがそれを望んでいたし、実際にそうしたスター連中は実年齢より若さを保ってもいた。

ところで、ぼくなどは最近は孫がいるおじいちゃん役ばかりやっているが、こんなに高齢化社会が進んでもドラマとなると現役の若い年代が中心で年寄りの役は少ない。だから仕事も減ってなかなか出る幕もないわけだけど、例え老け役とはいえ演じる作業は大変である。

いつ入るかわからない不安定な出演機会に備えて、肉体や発声の訓練は怠れないし、等身大の役柄とはいえ知識を付ける勉強もしなければならない。ただ、こうした自己鍛錬も仕事のうちというのが俳優なんだろうと思っている。

それにしても、ある意味では空しさを噛みしめながら、一瞬の虚構を楽しんでいるというのが、いまの自分なんですね。過度の期待は持たずに在るがままを大切にしたいなぁ~と考えるこの頃です。

*所属事務所 俳協 HP http://haikyo.or.jp

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