この道一筋、と言うと聞こえはいいけれど、何事も長けりゃあ良いというもんではないね。特に俳優なんていう稼業は新人だろうと古参だろうと関係ないよ。新人には技能の未熟さはあっも可能性があるし、古参には熟練した無難さはあっても慣れや癖が邪魔になる。
ぼくが芝居を始めたのは1960年、世の中が“安保”で騒然としていた時代だ。当時は新劇といわれる劇団のほとんどが左翼系で、入団初日の顔合わせで国会周辺のデモから戻った怪我人(先輩劇団員)を目の当たりにして吃驚仰天の門出だった。
状況がこんにちとは運泥の差なのに、あれから半世紀も俳優業を続けていて紆余曲折の道のりを辿ったが、いま働き盛りの20代、30代の若い人たちと同じ土俵の上で芝居をしているのだから、何んとも隔世の感がある。すっかりお爺ちゃん役だけれど・・・・
ぼくらの業界にはまだまだ先輩が多数健在なので、自分を古参などというのは面映い。だが、同世代の仲間の訃報が年々増えている世代であり、映画監督やテレビドラマの演出家も大部分が年下の方たちになり、かって贔屓になった監督や演出家の多くがすでに他界している。
そういう年齢なので、もう多くは望めないのだろうが、そして、長けりゃ不純物も多くて(老害)嫌われそうだが、お呼びがかかるうちは、しがない稼業を続けたいと思っている。昨日も、お茶を濁すような仕事だったけれど、企業物の研修用DVDに出演して、楽しんできた。
*所属事務所 俳協 HP↓
http://www.haikyo.or.jp/
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