都電荒川線(三ノ輪~早稲田)は東京で唯一の路面電車。こんにちのスピード時代にあって、のどかなこのチンチン電車に乗ると何とも心が和む。
この路線の三ノ輪~王子駅間が少年時代の遊び場だった所為もあるのだろうが、都下の多摩に居住して36年が経たいまも、ときどき乗車して楽しんでいる。
もっともこれは、私の実家が同路線の宮ノ前駅に近い荒川区尾久に在り、現在も老母が住んでいて何かと出向くため、乗る機会も得易いということがある。
実家への最寄り駅はJR山手線の「田端駅」なので、都電はあくまで少年時代へのタイムスリップが目的。で、一昨日も猛暑を押して出掛けたきた。
この日は宮ノ前から町屋までの区間だったが、かつて夢中になって通った線路沿いの映画館の、木造の小便臭い小屋掛けはすでに跡形もない。
突然、そんな想い出を辿り、町屋で下車して沿線を徒歩でブラブラ逆戻りしたが、その懐かしい時代を経て、後に俳優の道を選んだことが不思議でならない。
一期一会というと大袈裟だが、人生の方向というのは常に今その時の出会いや出来事の上に成り立っているのであだろう。
俳優業がはたして自分に向いているかというと、とても自信はないのだけれど、曲りなりにもこの道を歩み続けている。
まあ、過去は過去として、いまはいい芝居、いい映画に関わりたいと懸命に生きているつもりだが、思うに任せないのもまた人生というものかも知れない。
最後までお読みいただきまして有難うございました。
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